【こんな症例も治りますシリーズ 662】 『 セカンドオピニオン診療: 他院から転院してきた ウサギの膀胱結石 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、今回の手術で摘出した膀胱結石です。

■ 梅干しの種のような形をしています。

■ ウサギは、無(結)晶性の結石が多いですが、その結石の中心部分に今回のような梅干しの種のように『硬い結石』がある、多層性の結石もあります。

 

 

### ウサギの尿路結石はよく見られる病気の一つです。

 

 

◆ ウサギは体内のカルシウムの排泄の大部分を腎臓から行っていて、ほかの動物では尿への排泄が2%以下なのに対して、ウサギは45-60%も排泄しています。

 

 

 

◆ そのため、ほかの動物と比較すると尿中にカルシウム塩の結晶が作られやすくなっています。

 

 

 

 

 

 

 

うさぎ ネザーランドドワーフ メス 6歳

 

 

【 他院でレントゲン検査をしたところ膀胱結石が見つかり、その後から血尿が出るようになった 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 当院でもレントゲン検査を行ったところ、膀胱内に16mmほどの大きさの結石が見つかりました。

 

 

■ 尿検査では、細菌感染も確認されました。

 

 

■ 細菌感染に対して抗生物質で治療を行ったうえで、膀胱結石に対してはサプリメントで治療を行いました。 結石の種類によってはサプリメントで小さくするできることがあります参考)。

 

 

 

■ 抗生物質の効果で細菌感染はなくなり、血尿も出なくなりました。

 

 

 

■ しかし結石は解けることなく、1か月後にはわずかに大きくなってしまいました。

 

 

 

■ この症例では内科治療による結石の除去は困難と判断し、外科的に摘出することとしました。

 

 

 

■ 比較的高齢なウサギさんでしたが、麻酔前検査では膀胱結石以外の問題も見つからず、無事に手術で摘出することができました。

 

 

 

 

■ 結石の成分分析では炭酸カルシウム70%、リン酸カルシウム30%の『 カルシウム結石 』でした。

 

 

 

◆◆ このウサギさんは、食事にペレットや大豆を良く与えていたとのことでした。

 

 

■ 市販のペレットや大豆、アルファルファなどのマメ科の植物には、カルシウムが多く含まれるため、ペレットやマメ類をたくさん与えると高カルシウム尿症の原因になります。

 

 

■ この症例では結石が先か、細菌感染が先かは不明でしたが細菌感染も結石が出来る原因の一つと考えられています。

 

 

 

 

◆ また、運動不足になるとオシッコをする頻度が下がり、膀胱内にカルシウムを豊富に含んだ尿が長時間とどまることで結晶、結石ができやすくなります。

 

 

 

■ このような環境要因のほかに、ウサギさんの体質にも左右されるといわれています。

 

 

 

 

■ 一度結石が出来たウサギさんは生涯にわたって、結石ができにくいように飼育環境を整える必要があり、結石ができてしまった場合には点滴などで水分を補給するなどの治療が必要になります。

 

 

 

■ 当院では、様々な内科治療や必要に応じて外科治療も含めてウサギさんの尿路結石に対応しております。

 

 

 

■ ウサギさんの尿路結石でお困りの方は是非ご相談ください。

 

 

 

 

 

獣医師 別府雅彦

 

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